マグロの鳴き声Ver3.2

セレッソ大阪とか日常を書くチラ裏です。

朝ごはん

「朝ごはん」

妻が食卓に食器を並べながら、子どもたちと俺を呼ぶ。
ちゃぶ台の上には暖かな湯気をあげ、美味しそうな料理が鎮座していた。

 一つはフレンチトースト。食パンに溶いた卵と牛乳、砂糖を混ぜた液を染み込ませフライパンで焼く、朝食の王道。

余談ではあるが、俺の遠い遠い記憶の中にも朝食のフレンチトーストは刻まれている。
母がホットプレートを用意する。
関西特有の4枚切りと言われる厚い食パンにたっぷりと液を染み込ませてじっくり焼く。
ホットプレートに置いたパンの上から更に液をかけてくれた。
自分のが特別だったのか、はたまた余っただけなのか定かではないが、悪い気はしなかった。
ひっくり返すと、網目状に焦げた面が現れる。
その時点で既に食欲はマックスに到達するが、やはりじっくりと焼いていくのだ。
仕上げに四角く切ったバターを落とす。
ゆっくりと溶けて染みこんでゆくバター。
ちゃぶ台にもかかわらず、それをナイフとフォークでおしゃれに食べる。クソガキのくせに。
耳側を食べ、最後に中心の、あのたっぷりエクストラに染みこんだ液とバターの部分を、食す。
幸せの絶頂だ。
おっと、浸ってる暇はなかった。目の前の食事は娘達の腹の中に収まりつつある。
もう一つはフランスパン。固い歯ごたえと大きな棒状の形から鈍器として使用される、あれである。
江戸川コナンが現場に落ちていたフランスパンを持ったら、もうそれが凶器だろう。
「(…!?そうか!このフランスパンが凶器だ。おっちゃん少し寝ててくれ)」
毛利小五郎に麻酔銃を発射し、声を変える機械で毛利の声色を使う、例の推理を始めるコナンくん。
「犯人はこのフランスパンで撲殺したんですよ」
目暮警部は呆れながら言う。
「毛利くん、いくらなんでもそんなもので…」
「ふふふ、蘭、そこのパンで俺の頭を力いっぱい叩いてみてくれ」
「こ、こう?」
戸惑いながらも応じる蘭。
空手部仕込のスイングは見事後頭部にスマッシュヒット。
パチコーンと小気味いい音を立てるパンと、血を吹き出しながら床に転がる毛利探偵。
「このように人一人くらい軽く倒すことは可能です」
床に突っ伏したまま推理を続ける毛利。当たり前だ、喋っているのはコナンくんだ。
…オチも考えてない下手な二次創作はこの辺にしないと食べる物がなくなる。
特に長女は最近大人と同じくらいは平気で食べる。
確実にヨメのフォロワーとなr
あれここまでの記憶が無い。
話を続けると朝ごはん食べなきゃ、なのだ。
しかし、俺はここで重大なこと発見してしまう。
そう、まるで江戸川コナンのように。
頭脳は子供図体は大人、まるで役立たずの穀潰し、名探偵カズさんとは俺のことだ。
妻に尋ねる。
「これ、フランスパン」
「そうよ」
「こっち、フレンチトースト」
「?」
怪訝な顔になる妻。
「こっちは『フランス』こっちは『フレンチ』」
得意になって続ける。「ってことは『パン』てフランス語だよね!?」
「そういうことになる…のかな」
妻も戸惑いは隠せない。そりゃそうさ、名探偵の謎解きに戸惑いはつきものだ。
「だって、英語でパンはBreadでしょ。焼いたらtoastになるよね」
しかしとある疑問に俺の試行は停止する。
「まてよ…フランスってフランス語でフランスなのか?」
フランスの話しなのに禅問答みたいになってきた。
この場合要約すると、日本ではフランスと言っているが現地フランスではフランス語でフランスのことをフランスと発音しているのかどうかということだ。
日本では日本のことをニッポン、若しくはニホンというけど英語で日本はジャパンだしフランス語においてはジャポンだ。
余計にややこしい。
「『フレンチ』『トースト』はどちらも英語で『フランスの・トースト』となる」
つまり「『フランス』『パン』はどちらもフランス語で『フランスの・パン』とならなければおかしいんじゃないのか?」
だから「フランスパンはフランス語」であるはずなのだ。
妻は言う。
「ググれks」
いわゆるフランスパンはフランスで作られるパンのようなもの、つまり小麦やなんやをフランス国内でこねて焼いたものの総称だそうだ。
そういやこれバケットっていうもんな。
でもフランス語でフランスはフランスでパンはパンらしい。
だから合ってた。正義だった。名探偵だった。俺。
拝啓、江戸川コナンくん。
一回このフランスパンで事件解決してみてくれねえか?